『フォーメーションはあくまで人の配置で、個の質がサッカーは大事である。』
このように話す指導者によく会いますが、私の意見としては、半分正解、半分不正解だと考えます。
もちろん、自チームの選手の個の質が高いに越したことはありません。ですが、相手チームのほうが個の質が高い時だってあります。ではそうなったときにどうするのか。
『対策をたてるのではなく、真っ向勝負で自分たちがやってきたことを信じてプレーしよう。』
なんて話す方もいるみたいですが、その考え方が私には理解できません。
過去問があるのに全く解かず、今年やってきたこの問題集を入試の最後の日まで解きつづけて、当日を迎える。
なんてことをする人はいないですよね。やってること同じです。(笑)
自分たちがトレーニングしてきたことをベースに対策を立てて相手にぶつかる。それが指導者がやらなけばいけない仕事でしょう。
ヨーロッパの育成年代では、対策を立てずに格上と試合をし大敗すると、次の週のトレーニングから選手たちを指導者の話を聞かなくなるそうです。
「この人についていっても無駄だ」
ととられてしまうようです。実に合理的ですよね。
さて、話は戻りますが、
もちろん、ヨーロッパのプロのチームのように1週間で4-2-3-1を3-4-2-1に変えて披露する、なんてことは高校生には出来ないでしょう。そこまでの戦術眼はなくて当たり前です。
そこで指導者が考えなければならないことは、チーム立ち上げ時に、どのような形でチームを構築していくかということが一番大事となるでしょう。
私も、今年度のチームを指導しつつ、来年度を見据えて
「今の3年生が卒業したら、この1,2年生をどのような形で鍛えていけばいいのだろう」
ということを夏ごろからシュミレートしてきています。
そして、その1つの解決策が、今日のタイトルにもある3バックではないかと考えています。
私が知る限り(ヨーロッパサッカーやJリーグにとても精通しているわけではない)近年3バックを採用しているプロチームが増加している傾向にあると思われます。
(昨シーズン、プレミアリーグでは減少した)
昨年UEFA チヤンピオンズリーグ決勝に13年ぶりに駒を進め、惜しくも準優勝に終わった、フィリッポ・インザーギ監督率いるインテル・ミラノや、今シーズンラリーガサンタンデール(スペイン)で快進撃を続けるジローナFCらは3バックを採用しています。
今年度、私が対戦した相手チームでも3バックを採用しているチームが多くありました。
そこで感じたことは、
『(私のチームは4バックを採用)3バックを採用しているチームの攻撃を受けるのが本当にやりづら過ぎて嫌い!!!!!』
ということでした。
守備をする際に、誰がどこから敵に対してプレスをかけるという基本原則が4バックの相手と3バックの相手とでは大きく異なってしまい、『嚙み合わせ』が非常に悪く、後手を踏む守備になりがちです。
「人の配置を変えるだけで、ここまで守備がしづらいのか!」
と、本当に頭を抱えていました。
実例を挙げると
前からプレスにいこうとした時に、ウイングバックに対してサイドバックが出てこないといけないことがネックになります。
敵の中央センターバックに対して、うちの1トップが、敵の左右センターバックに対して、うちの両ウイングがプレスに出ると、どうしても敵のウイングバックに対してはサイドバックが高い位置まで迎撃をしに出ざるを得なくなります。
仮にカバーシャドーでうちの両ウイングがプレスをかけたとしても、中盤で壁パスを使われると、結局ウイングバックがフリーで運べる状況を作り出してしまいます。
前から奪いに行かなければそれは解消されますが、後方で数的優位を作られるのでボールホルダーが余裕をもってビルドアップしてくるのは、あまり心地の良いものではありません。
しかし、逆に3バックのチームは守備をする際、両ウイングバックを最終ラインまでさげれば5バックを構築できるので、困ったときは後ろを固く出来るので、手堅い守備ができますし、前からプレスをかける際も、内側に人が多いので外側にボールを追いだす守備が出来るのは、リスクが少なく守りやすいように感じます。
私が、以前等々力陸上競技場に川崎フロンターレvs湘南ベルマーレを観戦した記事を書きましたが、まさしく湘南ベルマーレは3バックを採用しており、一人一人の能力で勝るフロンターレを守備の組織で凌駕しました。
また、攻撃時には先ほども書いたようにビルドアップ時に後方の数的優位が見込めます。
マンチェスターシティが偽サイドバックや偽センターバックのように4バックから可変を使って3バックにしているのも同様のメリットを得るためですよね。
さらに、それに対して、前から敵が出てくるのであれば、初期位置でかみ合わせが悪いウイングバックを使ったり、ウイングバックに対して慌てて飛び出してきたサイドバックの背後に選手がスプリントしたりと、まさに最強の後出しじゃんけんですよね。
もちろん、この嚙み合わせの悪さを凌駕するだけのフィジカル能力があれば、敵のビルドアップを塞き止めることはできますし、逆に3バックを採用していても、技術が未熟であれば、攻めきれない、守り切れないなんてことは発生しえます。
ですが、それを指しい引いても、3バックには4バックに対して、圧倒的に効力を発揮しやすいことは間違いないでしょう。
ぜひ、この記事を機会に3バックについてより勉強してみてはいかがでしょうか。
私も面白い戦術が浮かべば共有したいと思います。