タイトルにもあるように、今回は『サッカーノート』について書いてみようと思います。
私が中学生の頃に、中村俊輔元選手の著者、『夢をかなえるサッカーノート』が出版され、目標の立て方やサッカーノートの書き方が記されており、実際にノートを書いてみたこともありました。
また、メジャーリーガーの大谷翔平選手の9×9マスの目標設定シートが近年有名となり、使用する指導者も増えていると思います。
そんな中で、私はコーチになった今でもサッカーノートを使用しており、気になったことをメモに書き出すことで整理をし、後日見直せるようにしています。
そこで、今回は、選手として、また指導者として、どのようにサッカーノートを活用していくことがおすすめなのかを書いていきたいと思います。
一つ目の活用法は、思いついたことはすぐ書き出すと言うことです。
練習でも、試合においても、反省点、良かった点、コーチに言われたこと、選手に質問されたこと、を忘れる前にすぐにノートに書きます。
現在ではiPadやVeoといったように高画質で試合を撮影する道具が普及し、簡単に試合を振り返る事ができるようになりました。もちろん、ビデオを見て丁寧に振り返りをすることは重要です。ですが、プレーの最中に感じたこと、誰かから言われたことに関しては、時間が経てば経つほど忘れてしまいます。
また、試合中は上から自分のことを客観視することは絶対にできません。自分の目から入ってくる情報を元にプレーするしかないわけです。
であれば、ビデオを見る前に、ミスしたプレーについて、良かったプレーについて、なぜあの判断をしたのか、を書き出した上で、ビデオを見返す。そうすることで、
「この瞬間に首を振ってさえいれば、この動きをしなかった。であれば、このタイミングで周りを見る習慣をつけよう。」
といったように、反省点だけでなく改善点まで明確にすることができるわけです。
指導者であれば
「今日の試合ではチームとしてこういうミスが多かったな。相手がこうだったからかな。うちの選手のここが足りなかったからかな。」とあらかじめ、自分で試合を振り返った上でビデオを見ることで
「やはりそうだった。」や「もっとここを意識させなければいけないんだ。」と言う気づきに繋がり、試合中に修正をする指示が出せるようになるかもしれません。
サッカーというスポーツをゆっくり考えること、タイムをとることがハーフタイムの一度しか許されていないスポーツです。
プレーが流れている中で、修正を必要とします。だからこそ、映像に全て頼るのではなく、自分が感じたこと、思っていたことを、まず書き出し、そこから修正ポイントを導き出す。
そして映像を見て、さらに詳細を知ることで、いろいろなアイディアやポイントを把握する事が必要だと考えます。
二つ目は、選手、指導者の間でそのノートを交換する事です。
指導者は常に、自分の考えのもとに選手たちに指導を行っています。チームとしてこういうプレーをしてほしいということは言われていると思います。
しかし、もっと細かく言えば、
「A選手に対しては、その中でももっとこういうプレーを求めている。」
「B選手に対しては、ここを伸ばせば良いのではないか。」
「C選手は、ここのポイントを改善すべきだ。」
など一人一人、感じていることはあるはずです。
ですが、それを毎回毎回その選手たちに対して個人的にコメントができるかどうかと言われると、そのような時間がないのが実情です。
逆に、選手の立場からすると
「なんで俺が試合に出れないで、あいつが試合に出ているんだ!」
「あの時こういうことを意識してプレーしたのに、なんで怒られたんだ?」
など、思っていても、なかなか直接聞けないことがあると思います。
そんな時のコミュニケーション手段として最適なものがサッカーノートだと私は考えます。
実際、私は引退するまで、サッカーノートの提出を求められていなくても、勝手に提出してコメントを書いてもらっていました。
コメントを書いてもらうことで、コーチの考えを理解することに繋がり、強いては自分に何を求めているか、自分に何が足りないかを知るチャンスに繋がるわけです。
その上で、その考え方はいらない、と感じれば捨てればいいわけですからね。
自分のことを第三者目線で見ている身近な人間は指導者しかいません。そういう意味では、いろんなことに気づいてくれる可能性が一番高い存在です。利用する価値が高いに決まっていますよね。
また、指導者の立場からすると
選手が何を考えているのか、どこまで考えているのか、ということは絶対にわかりません。
人の頭の中は除くことが出来ませんから。
ですが、サッカーノートを読むことで、
「この選手はここまで考えることができるんだ」
という発見や、選手一人ひとりにあったコメントを書くことで、メッセージを伝えることがより簡単に出来ます。
もちろん、毎日全員分を集めていては、キリがないので、日替わりで提出させることで約1ヶ月に1度のペースで選手とコミュニケーションを図る事ができるのではないでしょうか。
三つ目は、何度でも読み返すことができることです。
自分がうまくいっていない時、ノートを書いていれば似たような時期が以前もあれば、読み返してみれば、新たな気づきがあるかもしれません。
冒頭にも書きましたが、人間という生き物は、どんどん記憶が薄れていきます。
毎日サッカーをやっていれば、1週間前、1ヶ月前の練習のことなどすぐに忘れてしまいます。
だからこそ書き留めていつでも見返せるようにすべきなのです。1ヶ月前と同じ反省を書いていれば、自分が全く成長していないことに気づくことが出来ます。
人気漫画、ワンピースでも超天才科学者、ドクター•ベガパンクは自分の脳みそをクラウド化し、いつでも覗けるようにしています。彼は無限に記憶を蓄積できますが、私たちには限りがあります。
それをノートへと移行してしまえば言い訳です。
私がジュニアユースの頃、本当に頭が良い選手がチームにいました。その子は、ノートに反省を書かなくても、自分の中で整理し、反省を活かしてトレーニングに臨むことができる選手でした。もちろんユースにも昇格し、高校は公立の中でも県内トップクラスの学校へと進学していきました。つまり、本当に頭が良かったのです。
ですが、そのような選手の方が珍しく、基本的には日々トレーニングを全力でこなし積み重ねていく選手がほとんどです。
もちろん経験から成長に繋がることは間違いありませんが、より効率よく成長するには、上記のように、書いて、書いて、書きまくって整理することをお勧めします。
そしてそれが習慣化されれば、自然と自分で振り返る力が高くなり、試合中でも修正できるようになるかもしれません。
私は今でも、昔のサッカーノートを残していましす。
選手の頃に何を考えてプレーしていたのか。コーチに何を言われいたのか。何度でも読み返します。
最近では、携帯のGoogleドキュメントを利用して、メモを残すようにしています。
皆さんも、どのような形でも良いので、サッカーノートを書いてみてはいかがでしょうか。
新しい気づきがあるかもしれません。
[おまけ]
中村俊輔元選手の著書、夢を叶えるサッカーノートには、なぜサッカーノートが必要なのかを説明してくれています。ぜひ、皆さんも購入して読んでみてはいかがでしょうか。