全国常連コーチによる高校サッカー戦術

高校サッカーまたはそれ以下の年代で使える戦術、原則について深堀しています。あくまで私個人の意見です。参考にしていただいたり、意見を頂けると幸いです。

カバーシャドウの強みと対抗策の壁パス・レイオフ

 

 現代サッカーにおいて、『守備』はより戦術的に行われるようになりました。

様々なチームが様々な方法で、敵の攻撃を阻み、またボールを奪うだけでなく、そこから攻撃のことまでを考えて組織化しています。

 今年に入ってからも、自陣で徹底して1-4-4-2のブロックを敷いて、カウンターを狙うチーム。1-4-4-2の状態からボールに対してハイプレスをかけて、ショートカウンターを狙うチーム。オールコートマンツーマンで人を消すチーム。様々な戦い方があり、それらをどのように攻略してゴールを奪うかが面白いところです。

 

続きを読む

ゴールキーパーに求めるビルドアップ時の考え方

 

 ゴールキーパーはピッチ上で唯一『手でボールを扱う』ことが許されているポジションです。

 現代でも、レアルマドリードの守護神ティボー・クルトワ選手やリヴァプールのアリソン・ベッカー選手が世界最高峰のゴールキーパーと言われ、長い手足を活かして、ことごとくシュートを止めています。

 さらに、一昔前では、シュートストップにのみ焦点が当てられていたゴールキーパーでしたが、現在はシュートストップに加え、ビルドアップの参加も必要とされている傾向にあります。

 マンチェスターシティのエデルソン・モラエス選手やバイエルンミュンヘンマヌエル・ノイアー選手のように積極的に攻撃に参加し、アシストをも記録する選手が出現している状況です。

 高校生においてもビルドアップに参加するゴールキーパーが増えてきています。

 そんなゴールキーパーにおいて、ビルドアップ時にどのようなことを考えてプレーするべきかを今日は書いていきたいと思います。

 

続きを読む

【番外編】全国高校サッカー選手権大会を終えて

 

 プレミアリーグEASTを制し、プレミアリーグWESTの王者、サンフレッチェ広島ユースを倒して年間チャンピオンに輝いた青森山田が、今大会でも手堅いゲーム運びで優勝しました。

 今大会でもロングスローを中心としたセットプレーと強靭なフィジカルを武器に勝負強さを発揮していた印象です。

 賛否両論はありますが、チャンスを決めきるという点においては全国トップレベルであることに変わりはないでしょう。また、先日発表されたデンソーカップでは青森山田出身の選手が数多く招集されていました。

続きを読む

ビルドアップの考え方②

 

 前回の記事ではビルドアップで必要不可欠な3つの優位性、『質的優位』・『数的優位』・『位置的優位』を説明しました。

 特に位置的優位に関しては、チームとしてだけでなく、個人としても必ず理解しておいたほうが、サッカーが簡単になる要素です。

 コンマ何秒のせめぎ合いをしている中で、相手のプレスがコンマ何秒でも毎回遅くなるということはメリットしかないはずです。是非選手に意識をさせてあげてほしいです。

 

 さて、今日はビルドアップの時に何を意識してプレーするかということを書いていきたいと思います。

 当然、ただボールを動かしていればいいわけではありません。

続きを読む

ビルドアップの考え方①

 

 言うは易く行うは難しが『ビルドアップ』ではないでしょうか。

 ビルドアップにおいては『3つの優位性』を保つことが重要であると言われています。敵チームとの力量次第で必要不必要は別れますが、これら3つを具現化できるチームは格上に対してもビルドアップがチャレンジできるでしょう。

 

 まずは3つの優位性とは何か?

 

 それは

 ①『質的優位』

 ②『数的優位』

 ③『位置的優位』

 と呼ばれているものです。聞いたことがある方もいるかもしれません。順番に見ていきましょう。

 

続きを読む

センターバックに必要な能力はこれ

 

 『センターバックについて教えてほしい』

 という、なんとも難しい質問を頂きました。

 随分前に質問を頂いており、センターバックについて、何を書こうか迷っていましたが、先日、Jユースのコーチと話をして整理ができたので、書いてみようと思います。

 

続きを読む

4バックに対して3バック最強説

 

 

『フォーメーションはあくまで人の配置で、個の質がサッカーは大事である。』

 このように話す指導者によく会いますが、私の意見としては、半分正解、半分不正解だと考えます。

 

 もちろん、自チームの選手の個の質が高いに越したことはありません。ですが、相手チームのほうが個の質が高い時だってあります。ではそうなったときにどうするのか。

 

 『対策をたてるのではなく、真っ向勝負で自分たちがやってきたことを信じてプレーしよう。』

 

 なんて話す方もいるみたいですが、その考え方が私には理解できません。

 過去問があるのに全く解かず、今年やってきたこの問題集を入試の最後の日まで解きつづけて、当日を迎える。

 なんてことをする人はいないですよね。やってること同じです。(笑)

 自分たちがトレーニングしてきたことをベースに対策を立てて相手にぶつかる。それが指導者がやらなけばいけない仕事でしょう。

 

 ヨーロッパの育成年代では、対策を立てずに格上と試合をし大敗すると、次の週のトレーニングから選手たちを指導者の話を聞かなくなるそうです。

 「この人についていっても無駄だ」

 ととられてしまうようです。実に合理的ですよね。

 

続きを読む