現代サッカーにおいて、『守備』はより戦術的に行われるようになりました。
様々なチームが様々な方法で、敵の攻撃を阻み、またボールを奪うだけでなく、そこから攻撃のことまでを考えて組織化しています。
今年に入ってからも、自陣で徹底して1-4-4-2のブロックを敷いて、カウンターを狙うチーム。1-4-4-2の状態からボールに対してハイプレスをかけて、ショートカウンターを狙うチーム。オールコートマンツーマンで人を消すチーム。様々な戦い方があり、それらをどのように攻略してゴールを奪うかが面白いところです。
その中でも、ほとんどのチームが採用している守備の仕方が、『カバーシャドウ』と呼ばれる守備の方法です。
一昔前では、『背中で消す』と言われていました。便利な言葉がいつの間にか流行していますよね。笑
カバーシャドウとは、自分のマークとボールを結んだ線上に立つことで、パスコースを消すことができ、さらにその状態からボールホルダーに対してプレスをかけることでパスコースを一つ消した状態でプレッシャーを与えることができるという守備方法です。
また、カバーシャドウをすることで、カバーシャドウをする本人がボールを奪えなくても、パスコースが限定できるため、味方選手が担当している敵により強く圧力をかけることができます。
ハイプレスをするチームにおいては、マストで習得したい守備技術であり、対戦相手によって、
「誰がどこを消しながらどこにプレスをかけるか」
「それによってどこにボールが動く可能性があるのか」
「その際にだれがどこをケアするのか」
などを事前に整理しておくと、より試合中の混乱が少ないと思います。
カバーシャドウはいわば、敵一人の存在を一瞬消してプレスをかける守り方であり、数的不利を一瞬解消することが可能となる考え方です。
もちろん、名前がなくたってそのイメージは持ってるよと思う方がいて当然なのですが、名前をそこにつけて意識することが重要なのです。
大人気のサッカー漫画『アオアシ』で、5レーンについて話されているときにコーチはこのように話していました。
『大事なのはそこに「ハーフレーン」という名前をつけてまで意識することなんだ。なんとなく使ってきたエリアをはっきりと認識し、11人全員で共有する。「サッカーは3レーンじゃなく5レーン」現に今初めて認識てきただろう?」
かならずチームで同じ認識をもって守備をすることでより硬い強固な守備を可能にします。
さて、そのようなハイプレスを受けたとしても、いとも簡単にそのプレスをかいくぐっていく方法があります。それが『壁パス』・『レイオフ』と言われるものです。
カバーシャドウで存在を消されるということは、逆に捉えるとその選手はフリーということになります。つまり、消された選手にボールを逃がすことができれば攻撃側の勝ちとなるわけです。
こちらの動画(1:35~)でわかりやすく解説しているので、ぜひご覧ください。
カバーシャドウを受ける側のチームは、常に誰がフリーになるのかを常に察知し、フリーな選手に逃がすことを目的として、ボールを動かせば、簡単に敵のプレスを剝がしていくことが出来るというわけです。
サッカーとは、ボールを持っているチームがある程度主導権を握ることができるスポーツです。だからこそ、ボールを持ち続けるための方法を多く持っておくべきです。それは個で言えば技術、チームでいえば戦術となるわけです。
そして、チームとしてどれだけ多くの戦術をもっているか、『引き出し』を増やす作業を我々指導者が手助けしていくことが重要なのではないでしょうか。
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