言うは易く行うは難しが『ビルドアップ』ではないでしょうか。
ビルドアップにおいては『3つの優位性』を保つことが重要であると言われています。敵チームとの力量次第で必要不必要は別れますが、これら3つを具現化できるチームは格上に対してもビルドアップがチャレンジできるでしょう。
まずは3つの優位性とは何か?
それは
①『質的優位』
②『数的優位』
③『位置的優位』
と呼ばれているものです。聞いたことがある方もいるかもしれません。順番に見ていきましょう。
①質的優位
読んで字の如く、質で上回るということです。
極端な例を挙げるなら、リオネル・メッシ選手、ネイマール選手、キリアン・ムバッペ選手のように1vs1の局面において眼の前の相手を凌駕するだけの能力がある、ということです。
簡単に言い換えると、「敵を剥がすことができる」「ボールを奪われない」ということですね。
ピッチ上に1人でも多く質が高い選手がいれば、ボールを奪われる可能性がどんどん下がっていくわけですから、ビルドアップの成功率もどんどん上がっていきますよね。
②数的優位
一番馴染みのある優位性だと思われるのが、この数的優位です。相手より数で上回ろう、ということですよね。
1vs1に対して、援護をして2vs1、3vs1を形成することで、ボールホルダー(ボールを持っている人)はプレーの選択肢が増えます。裏を返せば、守備をしている人はどのように奪うか的を絞りづらくなります。
私も幼稚園生の頃から
「数的優位を作りなさい!」
と、言われていました。小学校高学年まで数的有利だと勘違いしていましたが(笑)
③位置的優位
一番馴染みがない優位性かと思いますが、個人的には一番大事なポイントであると思いますし、これを理解するとサッカーがだいぶ簡単になります。
位置的優位を簡単に説明すると、
『いい位置でボールを受けましょう』
ということです。
敵を背負ってしまうと前が向きづらいし、プレッシャーを受けてしまいます。また、敵と近い位置でボールを受けてしまうと、強烈なプレッシャーを受けてしまいます。
「僕はどこでどのようにボールをもらっても、ボールを奪われないから細かいことは気にしないで大丈夫!」
と、いう選手もいますが、青森山田の強烈なプレスにもビビらずプレーできますか?100回プレーして100回成功しますか?
という質問をします。
もちろん技術、すなわち①の質的優位の部分の能力を上げることは選手として重要です。
ですがサッカーはチームプレーです。
②の数的優位は小さい頃から言われてきているので自然とできますが、③の位置的優位を拒否するのは不自然です。
ではこの位置的優位はどのように伝えていくことがいいのでしょうか?
一番有名なものは、『幅・深さ・高さ』です。ピッチを広く使う際に教えていると思いますが、これも位置的優位の一つです。
私が選手に伝える位置的優位は
『敵を正面におかない・敵から外れる』
ということです。
例えば、サイドバックで考えてみましょう。
センターバックからパスを受ける際に、自分に対してプレスを掛けようとしてくる敵サイドハーフがいるはずです。その際に、敵を正面に置いてしまうと、最短距離でプレスを受けてしまいます。
ですが、敵からズレてしまえば、プレスを受けるまでに時間がかかったり、そのパスだけで敵を置き去りにすることが可能となります。
ボランチの選手も同様に、敵を正面におかないようにポジションを修正することが必要不可欠です。
敵を正面に置かない位置に移動することで、ボールを受けた際に、縦パスを狙えるようになったり、ドリブルで前に進むことが可能となります。
このほんの数メートルのズレを理解してポジション取りをしているか、していないかでプレーの成功率が大幅に変わります。
また、自分が立つべき場所を考えずに感覚でプレーしていると、なぜ次のプレーが成功したのか、なぜ失敗したのかがわかりません。
いい立ち位置ではないけど、たまたま敵が能力が低くてボールを奪われていなかったけど、敵の能力が高くなった途端、毎回奪われてしまう選手は、これが当てはまると思います。
だからこそ、指導者は基準を明確化してあげるべきですし、失敗を成功に近づける一番の近道になると考えます。
今回は、ポゼッションの原則について解説ををしてみました。次回はチームとして何を狙うか、どういったことを意識させるかを書いてみたいと思います。
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