ビルドアップをする際に前からプレスをかけられることは、一番ストレスに感じることではないでしょうか。特に自陣でボールを保持している時にプレスを掛けられてしまうと、ボールを失う=決定機を作られるということが頭の片隅にある為、どうしても焦ってしまいますよね。
最近ではバイエルンミュンヘンやリヴァプールといったトップレベルでプレーする前線の選手ですら、チームのために全速力でプレスをかけてボールを奪いにいくシーンを度々見かけます。
では、そのような脅威に感じる前からのプレスをどのように剥がしていくことがよいでしょうか?
一番シンプルな方法は個人でプレスを打開する、つまり『敵を1人かわす』ということです。
数年前のチャピオンズリーグであったシーンですが、前からプレスをかけるマンチェスターシティに対して、バルセロナの左サイドバックのジョルジアルバ選手は1人で敵を交わして前進してみせました。
前からプレスをかけ慌てさせることで、敵のミスを誘発しようとしているのに、冷静に交わされてしまっては意味がありませんよね。
ところが、『敵を1人かわす』というプレー関しては全員が出来るわけではありません。スピードや技術、フィジカルに左右されるでしょうし、何より自信がなければ出来ません。
そこで2つ目の可能性としては、『擬似カウンター』を推奨します。
これは日本では大分トリニータ、イタリアではナポリが採用していたことで有名ですね。知っている人もいるのではないでしょうか。
『擬似カウンター』というのは意図的にカウンターの構図を作ることを意味します。
カウンターはどのような際に起こるかというと、敵が攻撃に人数をかけてきた際にボールを奪い、手薄な敵陣地に一気に雪崩れ込み、縦に早い攻撃でゴールを狙うことです。
アトレティコマドリードはカウンターの代名詞ですし、2018年ワールドカップでベルギー代表が日本代表から奪った逆転ゴールもカウンター攻撃でした。
では、これを意図的に作るとはどういうことですかしょうか?
自陣の低い位置でGKも含めてボールを回します。もちろん敵はプレスをかける為に前へ出てきます。敵の中盤より前の選手たちが前がかりになった時に、最前列のフォワードに縦パスを入れ、それより後ろの選手たちは追い越そうと前向きで飛び出していきます。
ボールを奪いに前へプレスをかけていたのに、実は誘き出されていたという状態に敵はなってしまいます。
奪われれば決定機を敵に献上してしまうリスクはあるものの、成功すれば逆に決定機になる可能性を併せ持った方法です。
特にゴールキーパーやセンターバックの選手のロングボールの精度が求められる戦術です。
最後の方法は可変システムの導入です。
例えば4-2-3-1の立ち位置から3-4-2-1に変化をさせるといったものです。
プレスを前からかける為に2トップを2CBに当てようとしたのに、急に3バックになってしまうと、誰にプレスを掛ければいいか分かりません。
また、サイドもマンツーマンだと思っていたのに、気づいたら1人しかいないので両サイドで合計2人の選手が余ってしまいます。
このように噛み合わせ(プレスを行く際のマークがハッキリしないこと)が悪いとプレスの効きが甘くなり、ボールを運びやすくなる反面、誰がどこに移動するべきなのか、敵を見て判断できる戦術眼が必要になります。
このように対処法はいくらでもあり、ここでは説明しきれなかったこともあります。
今回はあくまでボールを繋ぐことを前提に話しましたが、ノージャッジで背後に蹴り込むことも一つの手段であることは間違いないですし、それを徹底するなら立派な戦術です。
ポゼッションと強烈な前からのプレッシャーは必ずしも相性が悪いわけではないですし、上手く剥がせれば逆にチャンスは広がります。
どうすれば一番簡単に剥がせるのか、皆さんも是非考えてみてください。