皆さんは、ドリブル成功確率が何%だと高いと感じますか?
自分が選手であれば、100%成功を目指して練習するべきでしょうし、指導者も同様に考えるでしょう。
ですが、実際に100%ドリブルが成功する試合なんてことはありませんし、実力が拮抗すればするほどその確率は下がっていくでしょう。
欧州リーグの2022-23シーズンにおいては
ヴィニシウス・ジュニオール選手(レアル・マドリード) 38%
リオネル・メッシ選手(パリ・サンジェルマン) 54%
ジュード・ベリンガム選手(ドルトムント) 53%
と、いうように世界のドリブラーですら成功確率が半分に到達するかしないかの世界です。
であれば、高校生がドリブルを100%成功するのは至難の業でしょう。
ですが、どうにか目の前の相手を剥がしたいことに変わりはないですよね。
そこで私がいつも伝えているのはボールを離すことです。
逆の立場(ディフェンス側)になって考えてみましょう。
あなたが1vs1を試合中にしています。何%の力で1vs1をしますか?
もちろん100%ですよね。抜かれないように半身を作ったり、奪えそうなら間合いを詰めたり、抜かれそうになったらスライディングでかき出したり、と意地でも目の前の相手に抜かれないように対応すると思います。
ですが、その選手が他の選手にパスを出した瞬間、あなたはその選手に対して、1vs1の時と同じレベルの集中力を持って対峙していますか?
ほとんどの選手が100%から70%、60%や50%に下がるのではないでしょうか。
絞らなければいけない。次の選手のカバーに入らなければいけない。ラインを上げなければいけない。中には、バックパスをしてくれてホッとしているかもしれません。
つまり考えなければいけないことが多いので一人に集中し続けることが不可能なのです。
また、ディフェンス側の選手は目の前の敵が違う場所へパスをすると、ボールの行方を目で追う傾向があります。いわゆる『ボールウォッチャー』です。
では、ここで再度攻撃の立場(オフェンス側)に戻りましょう。
先程までボールを持っていた時は、目の前の敵をなかなか剥がせずにいましたが、パスを出してしまえば敵の集中が自分から別の場所へと分散されます。さらにボールを目で追うので、自動的に自分が敵の死角に入ります。これで晴れて自由の身となるのです。
それを1番効率的に行うプレーが『ワンツー』ですね。
パスを出して背中側を走るのは、このディフェンス側の習性を利用していたのです。
以前、ニュース番組の特集で日本代表の久保建英選手がこのように話していました。
「僕は自分がきつくなる前にボールを離します。でもただパスをするのではなく、リターンが返ってくるところにパスを出します。例えば、わざと敵に近い場所に出せば嫌がってダイレクトで返してくれますよね。そして、そのパス交換の間に敵から距離を取れば、ボールが戻ってきた時にはフリーになっています。」
単純なパス&ムーブをするだけで敵から離れることができるし、それは敵を剥がしたことと同じ現象ですよね。敵から離れることでプレーエリアがより確保され、より良い選択ができたりより高い技術が発揮できると思います。
もちろん静岡県の静岡学園高校や宮城県の聖和学園高校のようにドリブルの技術に自信を持ち、勝負できるのであればどんどん仕掛ければいいと思います。個人でドリブラーだと思っている選手、または教えている子がドリブラーなら、たくさん仕掛けるべきでしょう。
ですが、闇雲に仕掛けても意味はありません。ドリブルができる。ワンツーも選べる。パス&ムーブで敵を剥がせる。様々な選択肢があるからこそ、ドリブルがより活きてきます。
また、ドリブルができない選手も、パス&ムーブでプレーエリアを確保し、より良いプレーを選べるようになるでしょう。
特にドリブラーがいなくて困っているチームは、これらを意識させてみてはいかがでしょうか!