『4バックと3バックはどちらが良いのか』という疑問に対して、今までは即答で『4バック』と答えていました。
理由としては「3バックがどのように機能するのか、何がメリットで何がデメリットかいまいちピンとこないし、普通は4バックでしょ。」でした。
しかし、現在のチェルシーやインテルのようなヨーロッパのトップレベルのチームが当たり前のように3バックを使い勝っている状況を見たとき、高校生でも3バックできるのではないかという考えに至りました。
結論から言うと、そのチームが何を優先するかで4バックを採用するか3バックを採用するかが異なるだけで、一概にこちらがベターというものはないという考え方に至りました。つまり、選手の特長を見たり、監督の好みで4バックを採用するか3バックを採用するかを決めればいいだけです。
ただ、4バックには4バックのルールがあるように3バックには3バックのルールがあるので、ここだけは押さえないとダメですよね、というものがあります。今回はそれらを紹介していこうと思います。
ルールを話す前に大まかなイメージをもっておいていただきたいのが、『3バック(3-6-1や3-5-2)は攻撃時には、縦に早い展開のほうがパワーを発揮し、守備時は最終ラインの枚数を3~5枚に変化させて中央を固く守るシステム』であることです。
では、攻守のルールをみていきましょう(対戦相手が4バック)。
攻撃の一つ目は、『ボールホルダーを底の点として進行方向側へ菱形のサポートを作り頂点の選手(特にシャドーや頂点の選手)へボールを運ぶ』です。
現代サッカーでの定石は、トライアングルを作ることですが、3バックでは菱形を形成します。理由は、対戦相手とのミスマッチと縦に早く突破することが目標であることです。
細かい説明は省略しますが、トライアングル=パスコースが3択になり、4バックの敵はマッチアップ的に2つしか消すことしかできないことが多くなるので菱形が重要になります。
中盤の選手が後ろ向きにボールを受けても、フリックと言われるダイレクトで斜め前に流す技術を持っているとさらに菱形の効果はでてきます。
攻撃の二つ目は、『最終ラインの背後へ飛び出す』です。
頂点の特にシャドーの選手にボールが入った際に、一敵サイドバックが引き出されるシーンが多くなります。引き出されるということは、そのスペースが空くということなので、空いたスペースに大外にいるウィングバックの選手やワントップの選手が流れてボールを引き出せば、一気にひっくり返り勢いをもって攻め込めます。
また、シャドーにボールが入っても、敵の最終ラインの選手が引き出されないのであれば、ターンして一気にスピードをあげて攻め込みましょう。どこかで誰かしらが我慢できずに出てくるので、そのスペースから攻め込めます。
シャドーに入れられた時点で、敵からすると詰みの詰みくらいですね。
攻撃の三つ目は、『ボールの平行サポートと展開後は急襲する』です。
基本的に上記の2点はイメージしてもらえればわかると思いますが、同サイドから攻め落とすパターンですが、うまく縦を切られた場合は横に逃がす必要があります。
その際に必要なことが平行のサポートです。
え、斜め前じゃないの?という声が聞こえてきそうですが、状況によります4バック相手だと嚙み合わせ的にが平行が多くなります。簡単に言うと、斜め前に出てしますとと敵がいる、ということです。
平行でサポートしボールを受けたら素早く逆サイドへもっていき、そのまま逆サイドのウィングバックを中心に速攻をかけるイメージです。
速攻がメインなので、どちらも縦に早くとなりますが、スライドされる前に、早く突破してしまおうというイメージですね。
以上3点が攻撃のメインになってきます。
え、3つだけなの?という気もしますが、簡単なルールとしてはこの3つで問題ありません。ただ大事なのは速攻ができる能力がある選手たちが揃っているかどうかを見極め、根気強くトレーニングでこのルールをチームに浸透させることだと思います。
3バックと4バックが併用できればチームとしての幅も広がりますが、勘違いをしないでもらいたいのは、それが出来るのはあくまでトップレベルの選手が揃っているチームだけです。3バックには3バックの強みがあるので、そこを踏まえてチャレンジしてみてはどうでしょうか?
次回は3バックの守備のルールを中心に書いてみようと思います。
【おまけ】
3バックの戦術の本ももちろんあります。全てをうのみにする必要もありませんが、試合を見て学ぶより、本を読んだ方が圧倒的に早く知識は習得できます。参考程度に読んでみるのもいいかもしれません。